コーギーにいつまでも健康でいてほしいから、知っておきたい寿命と病気のこと

コーギーに長生きして天寿を全うしてもらうため

コーギーには紀元前から存在するとされる「ウェルシュ・コーギー・カーディガン」と、12世紀ごろにイギリスのウェールズに渡ったといわれる「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」の2種類がいます。
2種のコーギーは祖先の犬も改良の歴史も異なりますが、同じウェールズの犬として交配されていた時代があり、外見も性質もよく似ています。そのため、かかりやすい病気や寿命などはほぼ同じとみていいでしょう。

フードや飼育環境の向上によって、犬の寿命はどんどん延びています。コーギーについても、平均寿命は一般的な犬と同じ12～14歳ですが、15歳以上まで生きる場合も珍しくありません。
コーギーの長生きのコツは、病気の予防と早期発見。日々の健康管理がポイントです。

コーギーのかかりやすい病気を知っておこう

病気予防や早期発見のためには、かかりやすい病気を把握しておくといいですね。運動能力が高く骨格がしっかりしたコーギーですが、遺伝によるものや体型によるものなど、コーギーにはいくつか注意したい病気があります。

椎間板ヘルニア

コーギーに限らず、胴長短足の犬種は総じて注意したいのが椎間板ヘルニアです。胴が長いために背骨に負担がかかり、椎間板ヘルニアになってしまいます。腰だけでなく、首に起こることもあり、体型肥満は大きな。
痛みで歩きたがらなくなったり、患部を触ると痛がって「キャン！」と鳴いたり。進行するとマヒや排泄障害などを起こし、ふらついたり転倒したりします。最終的には体を動かせなくなって呼吸機能がマヒし、死に至ることもあります。

股関節形成不全

股関節形成不全は約7割が遺伝といわれ、生まれつき股関節が不安定なため歩行異常が現れます。足を引きずったり腰を振ったり、うさぎ跳びのように歩いたりなどの症状のほか、脱臼を起こしやすいといった側面も。生後半年～1歳の成長期にわかることが多いです。そのころに歩き方や座り方が普段と違う場合は、病院で診てもらいましょう。
遺伝の要素が多い病気のため、親犬や祖父母犬の健康状態がはっきりしているブリーダーから、コーギーを迎えることも重要です。

尿管結石

犬種全体で泌尿器疾患の罹患率が6.0％なところ、コーギーは9.7％と高め。そのなかでも注意したいのが尿管結石です。腎臓から尿道の間に石ができる病気で、尿管や膀胱にできた場合は激しい痛みを伴います。さらに怖いのは腎臓に石ができる腎結石です。痛みがないので気付かないうちに症状が進行し、腎不全に陥ることも。
尿量が減少や頻尿、尿の色が濃くなった場合は尿管結石を疑いましょう。重症化すると尿毒症などの命にかかわる深刻な状態になってしまいます。尿管結石は細菌感染や過剰摂取、水分量の不足が原因となります。

皮膚疾患

ダブルコートで毛並みが厚いせいか、コーギーは皮膚疾患の多い犬種です。蒸れて細菌が繁殖しやすく、またアレルギー性の皮膚疾患を起こすこともあります。ノミ・ダニのケアはもちろん、食べものや飼育環境の温度管理にも気を配りたいですね。
定期的にブラッシングして死毛を取り除くとともに、皮膚の異常があれば早めに気付いて対処しましょう。

変性性脊髄症（DM）

変性性脊髄症はゆっくり脊髄の麻痺が進行する病気で、痛みを伴いません。最近世界で注目されている、コーギーに多い病気です。2～3年をかけて後ろ足から前足、首、呼吸器とマヒが広がり、最期は呼吸ができずに亡くなってしまいます。
変性性脊髄症の恐ろしいところは、今のところ原因がよくわからず、治療法がないということ。正確には脊髄の組織検査が必要なため、診断も難しいです。初期症状は歩き方の異常のため、椎間板ヘルニアと間違えられることもあるそう。もし変性性脊髄症だと診断されたら、進行度に応じて適切な介護が必要です。

コーギーの病気を予防するためには

コーギーは食欲旺盛な犬種で、欲しがるままにフードやおやつをあげるとあっという間に肥満になってしまいます。肥満すると、コーギーのような胴長短足の犬にとって背骨の負担が増え、ほかのさまざまな病気の原因にも。カロリーはしっかり管理しましょう。
毎日運動させることも重要です。運動は肥満予防や足腰の発達に役立ち、何より運動が大好きなコーギーのストレス解消になります。散歩は早歩きで1回30分以上、思い切り走らせる機会も作ってください。

足腰の負担を減らすためには、段差を飛び降りたりフローリングで滑ったりするのは厳禁。後ろ足だけで立つのもいけません。ソファーなどに飛び乗らないようにしつけ、フローリングには滑り止めワックスを塗ったり、カーペットを敷いたりといった対策が必要です。

まとめ

コーギーの寿命10～12歳といわれています。しかし、犬の寿命は年々伸びていて、15歳以上のコーギーもよく見かけるようになりました。コーギーに健康長寿を全うしてもらうには、かかりやすい病気を知り、予防と早期発見・早期治療を行うことが大事です。日々コーギーの様子を観察し、いつもと違う様子があれば、すぐに動物病院に相談しましょう。

参考文献 図鑑　世界の犬

岐阜大学動物病院『ウェルシュ・コーギーの変性性脊髄症』　https://www.animalhospital.gifu-u.ac.jp/neurology/medical/spine_dm.html

みんなの犬図鑑『ウェルシュ・コーギー・ペンブローク』　https://www.min-inuzukan.com/welsh-corgi-pembroke.html